2019年 12月 17日
読書記録「ノースライト」 |
読書記録 横山秀夫「ノースライト」
抄録は以下の通り。
『一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。
望まれて設計した新築の家。
施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに…。
Y邸は無人だった。
そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。
ただ一つ、浅間山を望むように置かれた「タウトの椅子」を除けば…。
このY邸でいったい何が起きたのか?』
とにかくまどろっこしいです。
起承転結の、”承”がバカ長い感じで、”転結”があっという間で、いままでのダラダラは何だったのかという印象でした。
延々と建築エピソードを聞かされるのですが、一向に到達点が見えてこないのでいらつくだけでした。
九官鳥のエピソード(飼い主を連想させる特定のフレーズを覚えていてなんども鳴く)も偶然に頼ったもので、取って付けた感が強いです。
以下、ネタバレが含まれます。
結論は、恩返しにと言うか、罪滅ぼしに、3000万も捨てた、ということになるのですが、本当にそれで良かったのでしょうか?
もしくは、父親の贖罪のために、その父親の遺産で、建築家に3000万もあげて、さぁこれで家を建てろ、その家はくれてやる、ってことなんですが、どう考えてもそんなことはあり得ないでしょう。
第一、住む気のない家を建てて、「いらない」と言われたらとかを全く考えていないのがどうにも気持ち悪いです。
家を建てさせる方も、一人なのに明らかなファミリー向けの家を建ててどうするんだろうとしか思えません。
結論ありきで、作者が一生懸命取材した建築家のエピソードを盛り込みたかっただけの自己満足的な作品になってしまいました。
おすすめ度:☆(ミステリとして成立していないので、建築うんちくが好きな方だけに)
by k1right
| 2019-12-17 00:00
| 読書記録
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