2019年 08月 10日
読書記録「スイート・マイホーム」 |
読書記録 神津 凛子「スイート・マイホーム」
『長野の冬は長く厳しい。インストラクターの賢二は、1台のエアコンで家中を暖められる「まほうの家」を購入する。ところが、その家に引っ越した直後から奇妙な現象が起こり始める。我が家を凝視したまま動かない友人の子ども。赤ん坊の瞳に映るおそろしい影。地下室で何かに捕まり泣き叫ぶ娘。想像を絶する恐怖の連鎖は、賢二の不倫相手など屋外へと波及し、ついに関係者が怪死を遂げる……。第13回小説現代長編新人賞受賞作。』
帯に”イヤミス”とあったので、あまり期待していませんでしたが、良い意味で裏切られました。
想像以上に面白かったです。
途中、誰だか明示されていないモノローグや、発言している本人は誰だかはっきりしているのに、誤魔化すために代名詞でぼやかしている箇所は、読者に呆れられないために、もうちょっと工夫が必要だと思いますが、それらを補って余りある面白さでした。
”本格”とは謳われていませんが、ラストを除けば、一見無意味そうな設定に必然性があり、伏線を無理なく回収されています。
ホラーテイストを加えたミステリで、女性作家ゆえのイヤミス要素付与でしょうが、完全にイヤミス要素と、ラストのホラー設定は蛇足で、これが省かれていれば、万人受けする評価の高い作品になったでしょう。惜しくて、もったいないです。
この作者の次作に期待します。
おすすめ度:☆☆☆☆(説明通り)
by k1right
| 2019-08-10 00:00
| 読書記録
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