2016年 03月 21日
子宮頸がんワクチン、大野先生の見解が聞きたい |
やっと子宮頸がんワクチンの副作用(という言い方はされていませんが、ここでは端的に)の原因がわかりかけてきたようです。
問題は、それ以前に、”原因がよくわからないから、心身の反応、精神的なもの”と言い切ってしまった方がいます。
この方が、どのような見解をされるか要注目です。
産業カウンセラー協会とも決して無縁ではない方です。
かなり簡単にまとめると、子宮頸がんワクチンが、東アジア人に多い特有の遺伝子に反応して、脳に何らかの障害を起こす、ということだと思います。
以前は以下のような議論がされていました。
『私は、精神科医として慢性疼痛を中心とした身体症状について説明をさせていただきます。私は、この頸がんワクチンに関して何か仕事をしているわけではなく』
と断って、慢性疼痛について説明をされています。
『(PP)
それでは、こういう器質的な原因がはっきりしない身体症状を訴える方の治療というのをどのようにすればいいか、それについて若干触れておきたいと思います。』
『器質的な原因が分からないから・・・精神科に紹介する。』
『こういった症状に対する治療のエビデンスですけれども、大体、鬱ないしは不安に対する治療法と同様のアプローチに強いエビデンスが報告されています。これはこういった症状に対して鬱不安が併存している場合が多いことも関係していると思いますけれども、例えば慢性の疼痛に対しては認知行動療法、リラクセーションだとか行動活性化、行動を通して社会に適合していく、そして、考え方を切り替えていく、そういうエビデンスが出ております。過去には、三環系抗うつ薬も慢性疼痛に対してはエビデンスが報告されております。』
これを、最後まで読むと、原因不明の慢性疼痛についての説明なんですが・・・
本当に”三環系抗うつ薬”が投与されてしまったのでしょうか?
”三環系抗うつ薬”とは、効くことは効くけど副作用も多くて、SSRIなどに代替されてしまったお薬なんですが、患者さんのその後の経過が気になります。
そして、以下の記事にはこうあります。
『「心身の反応」という結論の根拠となった意見を述べた 精神科医 で国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法 センターの大野裕所長は「今の医学で肉体的な原因が全く見つからない場合は、心理的要因で痛みなどが起きている可能性は否定できない。原因不明で治せないのなら、心理的に支援することは不可欠」と指摘する。』
と、ほぼ断定的になっています。
当然ですが、以前は原因不明だったけど、後でわかったらどうするんだという疑問へのお答えはありません。
当たり前ですが、身体的な原因がある場合、精神面からのアプローチは無意味であり、ただ患者さんの苦しみを無駄に長引かせるだけです。
どうして、”心理的要因”と言い切ってしまったのか、原因不明だからというだけでは、説明不足です。
また患者さんごとに異なる症状を、原因不明の慢性疼痛で括くってしまったことも、乱暴だったと思います。
この辺の経緯は追いきれなかったので、専門の方にお任せいたします。
その後の子宮頸がんワクチンについては、きれいにまとまっているのはNHKのサイトなので、そこを参照していただければいいと思います。
※雑な説明ですが、最初の資料にあった
「身体化障害及び転換性障害を中心に慢性疼痛」というのは
大昔の言葉で言うヒステリー発作です。
要は、心身の反応により原因不明の身体症状が現れる、ということです。
ちょっと前だと”心因反応”と言っていたかもしれないです。
どちらかと言うと、痛みより麻痺の説明に用いられることが多かったように記憶しています。
※私はDSM-ⅢからⅣの過渡期で勉強していたため、Ⅴについては現在勉強中で、
まだⅢーⅣーⅤがぐちゃぐちゃになっています。
以下関連リンクです。
※直接のリンクができなかったため
3/16 毎日新聞「子宮頸がんワクチン 脳機能障害、患者8割が同じ遺伝子」
『第5章 精神保健と産業カウンセリング 【編集責任 高田 昂・末松弘行】
1 精神医学
1 現代の精神医学と産業カウンセリング
田中克俊・長谷川恵美子・島 悟
2 精神分裂病 大野 裕
3 気分障害 大野 裕
4 神経症性障害 大野 裕
5 境界性人格障害・境界例 大野 裕
第6章 産業カウンセリングの理論と方法 【編集責任 楡木満生・内山喜久雄】
4 行動論的カウンセリング
1 行動療法 沢宮容子・内山喜久雄
2 認知療法 大野 裕』
by k1right
| 2016-03-21 00:00
| 臨床心理学
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