2015年 12月 12日
羅臼の「鷲の宿」にシマフクロウを撮りに行こう! |
私にとっての第一報は釧路新聞でした。
『道東を中心に約140羽しか生息していない絶滅危惧種・シマフクロウが訪れる羅臼町の民宿「鷲(わし)の宿」で、ガイドの常駐や照明・給餌の工夫など、``見せる保護、、が進められている。生態だけではなく「暮らし」の観察が可能になり、ストーリーの語り部役となるガイドの存在が、カメラマンばかりだった宿の客層を広げた。保護と観光利用の一体化を目指し、小さな宿が、保護啓蒙(けいもう)の拠点という役割を担いつつある。』
正直、おいおい、こんなに晒して大丈夫か?と思いましたが、釧路新聞という”ど”ローカルメディアということもありこの時点では、大した話題になっていませんでした。
※この時点で、すでにどこかのバカブログで「羅臼鷲の宿」「シマフクロウ」のキーワード晒されています。
実は、羅臼の「鷲の宿」でシマフクロウの餌付けを行っていて、宿泊者限定で(つまり有料の商サービスとして)シマフクロウの撮影を行っていることは知っていました。
だいぶ前(震災前)に、道東の某宿に宿泊した際、水中に潜って魚を撮影することで知られる某プロカメラマンと同宿となり、餌付けされたシマフクロウの撮影の同行を誘われたことがあったからです(なんでも貸し切りにするので頭数が多いほうが割安になるから、というくだらない理由でした)。
もちろん、わたしは餌付けされたトリなどに興味はないので、お断りしました。
ところが、12月になって、いきなり朝日新聞が夕刊一面に、ほぼ、同じ内容の記事を掲載しました。
『北海道の世界自然遺産・知床で、絶滅危惧種シマフクロウを来訪者に見せる試みが始まった。保護すべき生物をあえて見せることで、知床の自然への理解を深めてもらおうと、地元観光協会が動いた。環境省は「めったに人目に触れることのない希少種を見せて保護、啓発につなげようとしている非常に少ない事例。良い方向に進んでもらいたい」と見守っている。』
(詳細は後部で)
そこで、あらためて「シマフクロウ」でググると以下の記事が、3ページめでやっとヒットしました。
シンポジウム「知床・羅臼町でシマフクロウの観光利用を考える ...
2015/08/26 - 9月27日(日)午後2時より、羅臼町公民館大集会室にてシンポジウム「知床・羅臼町でシマフクロウの観光利用を考える」が開催され、当会顧問である早矢仕有子氏(札幌大学教授)も講演を行うほか、パネリストとして登壇されます。入場無料、 ...
これが、朝日新聞の言わんとしたことの趣旨と被るのですが、朝日新聞には北海道シマフクロウの会についての言及はありません。
当の「鷲の宿」ですが、そこのHPを見る限り、朝日新聞で書かれているような志の高さは感じられず、むしろ、同じく、シマフクロウの餌付けが撮影できる宿として有名な養老牛温泉の某宿と同じ、宿泊者向け、つまり、ただの有料サービスでしかないようにしか見えません。
朝日新聞の記事でも、音頭を取っているのが”観光協会”ですから、商目的であることは明白です。
さて、朝日新聞の記事を見た団塊世代のバーダー(笑)はどう行動するでしょうか?
まず、河川名まで特定できています。
そこでまずグーグルマップなどで見てみると、小さな川であることが分かります。
シマフクロウは大きな鳥なので、行動パターンは限定されます。
あのような小さな河川だと飛べる場所は限られます。
そして、彼らが撮りたいのは、宿の庭にやってきて、宿泊者なら誰でも取ることが可能な画ではなくて、自分だけが捉えた、オリジナリティの高い映像なのです。
とすると、お金を払って、鷲の宿の宿泊者なら誰でも取ることが可能な画を撮ろうと考えるでしょうか?
例えば、キャンピングカーに寝泊まりして、早朝に川沿いを歩きまわって、”自分だけのシマフクロウの絵”を撮ろうとするんじゃないでしょうか?
いずれ、冬のタンチョウのような位置づけとなるのでしょうか?
個体数が少ないことから、それは無理でしょう。
根室方面では、北海道認定のガイドが、営巣場所(巣箱)に外国人団体観光客を案内して、営巣拒否させたことが噂となっています(あくまで、う・わ・さ、です)。
宿の庭は、宿泊者以外立入禁止にできますが、自然河川はそうは行きません。
『北海道の世界自然遺産・知床で、絶滅危惧種シマフクロウを来訪者に見せる試みが始まった。保護すべき生物をあえて見せることで、知床の自然への理解を深めてもらおうと、地元観光協会が動いた。環境省は「めったに人目に触れることのない希少種を見せて保護、啓発につなげようとしている非常に少ない事例。良い方向に進んでもらいたい」と見守っている。
知床半島の羅臼町を流れるチトライ川。日没から間もなく、川沿いの民宿「鷲(わし)の宿」隣の小屋で、家族連れらが薄明かりに照らされた川面を眺めていた。知床羅臼町観光協会の佐藤紳司さんが説明した。
「シマフクロウの主なエサはイワナの仲間のオショロコマです。その数から考えると、知床では一つの河川域に一つの家族しかすめないでしょう」
その時、シマフクロウが流れに浮かぶ岩に降り立った。「来た!!」。小屋に歓声が上がる。フクロウは小屋には目もくれず、微動だにしない。何分経過しただろうか。突然、川の真ん中に設けられた給餌(きゅうじ)池へ飛び込み、ヤマメを捕まえた。
「ここではシマフクロウが野生の姿を見せてくれる。それを見て自然を敬愛する気持ちを育んでもらいたい」と佐藤さん。
かつて北海道にシマフクロウは約1千羽いたとされるが、大規模な森林伐採やダム建設で、1960~70年代には推定約70羽に減った。国は84年から給餌や巣箱の設置で保護事業を実施。現在、北海道東部を中心に約140羽にまで回復した。半数ほどが知床半島にいるとされる。
その希少性や美しさから、カメラマンやバードウォッチャーに人気が高い。環境省は保護の観点から生息地を明らかにしていないが、営巣地を探し出して照明で追い回すといった悪質なケースもあるという。「鷲の宿」でも、出没情報を得てやってきた客同士がトラブルを起こしたり、ストロボの発光について環境省から指導されたりした。
知床羅臼町観光協会は、知られてしまった出没地を「保護と観察の先進地に」と昨年から動き始めた。野生動物への給餌は専門家の間でも意見が分かれるため、シマフクロウを人慣れさせず、野生の捕食能力を失わせない程度のエサのやり方をめざした。
簡単には捕食できない給餌池にした。エサのヤマメが隠れる石を置き、放すヤマメの数も減らした。川面を照らす明かりも工夫。シマフクロウが活発に活動を始める夕暮れ時の照度にした。
人の行動も制限した。必ず小屋の中から観察し、小屋から出る時は決まった経路を歩くよう徹底。その結果、シマフクロウは長く姿を見せるようになった。
環境省釧路自然環境事務所野生生物課の藤井好太郎課長は「最大限配慮された取り組みではないか。保護の結果、シマフクロウの個体数は少しずつ増えている。これからは人との関係を個々の場所で考えていかなければならない」と話している。(神村正史)』
追記(2015/12/14)
「シマフクロウ 鷲の宿」でググると、やっと3ページ目に、当記事と、”鷲の宿”さんのHPがヒットします。
スマフォ対応を施していないと(そもそもスクリプトにも難があるのですが)、本家なのに、検索順位が低く、折角、朝日新聞に大々的に宣伝してもらっても、続報もなく無駄足になります。
それにしても、”秘密”だった頃にも、これだけ多くの写真と宿名が晒されているんですね。これなら、朝日新聞の記事の影響も軽微でしょう。
by k1right
| 2015-12-12 00:00
| 北海道ネタ
|
Comments(1)
Commented
by
駅前食品市場ファン
at 2016-03-26 13:37
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初めまして、取り上げる題材とコメントが面白いので、ときおり拝見しております。
シンポジウム「知床・羅臼町でシマフクロウの観光利用を考える ...
hokkaido-shimafukurou.org/archives/915
のリンク先が削除されたようです。普通ならその後の経過とか、少なくともシンポの内容くらいは報告してくれると思うのですが。どこもスルーみたいです。
どうやら会場でもめ事があったようです。アメブロの「知床のシマフクロウ記事は何の目的で投稿されたのか」で少し見えますが、環境省やシマフクロウの会ってところからの詳しい報告が欲しいところです。
シンポジウム「知床・羅臼町でシマフクロウの観光利用を考える ...
hokkaido-shimafukurou.org/archives/915
のリンク先が削除されたようです。普通ならその後の経過とか、少なくともシンポの内容くらいは報告してくれると思うのですが。どこもスルーみたいです。
どうやら会場でもめ事があったようです。アメブロの「知床のシマフクロウ記事は何の目的で投稿されたのか」で少し見えますが、環境省やシマフクロウの会ってところからの詳しい報告が欲しいところです。
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