2015年 12月 29日
評価が難しい 、aiko 「Love Like Pop vol.18」 |
最初にお断りします。
”評価が難しい”としてのは、去年の横浜アリーナ公演、その前の埼玉アリーナ公演との比較であって、単に今回の公演が、良かったか、良くなかったかと言われれば、すげ~よかった、とお答えします。
視覚的にはザイロバンドの有無の差があまりに大きすぎます。
あれがあるとないとでは印象が全く異なります。この差は本当に大きいです。
特に、後ろの方の席からだとその効果の違いは歴然です。
おそらくその差を埋めようと演出でかなりの工夫があったのだと思いますが、その差を埋めきれていたかというと、その点は疑問です。
次に、昨今流行りの手を上げて振るという観客の動きです。私は背が低いので(現代女性の平均くらい)、前の人に手を上げられるとかなり視界が遮られます。いつの頃からかこのような観客の動きが一般化してしまいました。できればやめて欲しいと思うのは私だけではないはずです。
いつも、キラキラテープが届かないことは当たり前で、ゲットは諦めていたのですが、夏のZepp Tokyoではスタッフのかたが手で配られていましし、昨年の横浜アリーナでのハローウィンでも同様の配慮がなされていたので、少し残念に思いました。
3時間を超えた辺りから帰られる観客が目立ちました。おそらく3時間以上かかることをご存じない方たちだったのでしょうが、もし、終電や新幹線の時間絡みであれば、開演を1時間程度早めるというのも一考でしょう。
グチはこれくらいでいいでしょう。
気分を害された方がいらっしゃいましたら謝ります、他意はありません。
夕暮れの横浜はとてもきれいな街でした
今回の席は、2階アリーナ立見席という、いったいどこだ?という席でした。
入場してみると2階席の最後列の通路でした。つまり、3階席より遥かに近かったのです。立見席は1列だけだったので席数はかなり少ないはずですが、なぜ、くじ運のない私が、一般の電話発売で取得できたのかは不明です(一般の抽選予約は全滅でした)。
しかも、どうせ立ちっぱなしなのですから椅子はあってもなくどちらで良いのです。
ステージは円形プラス花道だったので、本当に近く感じました。
それより驚いたのが、音の良さです。上の方の席は屋根や背後の壁からの跳ね返りや、(さいたまアリーナだけでしょうが)2階の屋根と床に挟まれた部分での音の循環などで、リズム系の音がもやっとしか聞こえなかったのですが、今回はクリアに聴くことができました。やはり音がいいと印象が全く違います。
FBやインスタにも書きましたが、
『ヘヴィメタアレンジから4ビートにつなげる構成は、多分、誰にも真似できない』
と思います。さらにスカパラよりベタなスカまであり、ここまで音楽的多様性に富み、さらにオリジナルの域に昇華させている例を他に知りません。下手なラップより言葉を詰め込んでいるのにメロディに乗せている歌詞などは、自身で歌ってみるといかに難しいかはっきり分かります(ラップがどうこうということではありません)。
キュートなルックスとかわいいキャラクターと恋愛観が評価されがちですが、シンガーとしても、パフォーマーとしても超一流です。
後述になりますが、菊地成孔さんはナンバーワン・ソウル・シンガーと評していますが、スカのシンガーとしては男女込みでナンバーワンだと思います。
単調になりがちなスカのビートに日本語詩を乗せて成立させるのは、ラップの日本語化よりさらに難しいと思います。他に誰がいるか、ちょっと思いつきません。
そして、きっちり浮かび上がるひざ関節上の大腿二頭筋。こんな筋肉をした女性はジムでもほとんど見たことがありません。二の腕はぷにぷにした印象なので余計に不思議です。
今回はじめて気が付きましたが、走り回りながら歌っているときに、マイクが外れた際に明らかにハアハアと息をしていました。しかし、きっちり歌っているのです。どうするとこんなことができるのか、私には理解不可能です。走りながら歌うというのは息が上がっていないからだと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。そしてブレスの多くは32小節が多いです。
なんでこんなことができてしまうのか、謎です。
観客からワードを拾って即興でオリジナルソングを作るというのは、アリーナでは無理があったように思えます。観客の声もよく聞こえず特に2階3階はどうせ拾ってもらえないという疎外感があります。わたしはいつものバンドメンバーの即興でよかったんじゃないかと思います。 これは席次第ですね。
一部の曲で発声方法を変えているのが気になりました。キーも音域も変わっていないのですが、最近のELTに近い感じといえば良いのでしょうか?音を出すのは楽なのですが、太さと押しが弱くなる気がします。ただ、低音域から最高音域までパワフルで伸びのある声が聞けたので杞憂か気のせいかもしれません。
バンドのメンバーに変更があったようですが、全員相当旨いです。重複しますが、ヘビメタから4ビート、スカ、JPOP何でもありです。弱点が一切ありませんでした。
BABYMETALの16ビートの上に無理やり乗せた8ビートのボーカルとは異なり、すべてオリジナルに昇華されています。演出を含め”バンド”として立派に成立しているのがわかります。
曲の構成については、ヒット曲が多数あるのにもかかわらず、
いつものことですが、初期のアルバム曲やシングルのカップリング曲を引っ張り出してきます。このような曲を演るより過去のシングル曲を演ったほうが盛り上がるのは間違いないのですが、この辺りが長く続ける秘訣でしょう。
私の印象だと、「カブトムシ」前のMCはいつもシモネタなんですが、今回は違っていました。シモで引っ張って「じゃ、曲やりまーす」というのもありましたが、それでも曲の世界観に入っていけます。空気の切り替わり方が凄いのです。
2度目のアンコールだったでしょうか?「恥ずかしながら~戻ってまいりました!」と言ってたと思いますが、これ、横井庄一(よっこい、しょー、イチ、てやつです)ですよね?
ネタとして古すぎて40以下にはわからないと思います(実際には昭和47年)。
時々設定外のセリフ(例えば”B面”とか)がでるのも可愛いもので、おぢさんには嬉しかったりします。この辺りがどこまで考慮されているか分かりませんが意図的ではないのでしょう。
コールアンドレスポンスで、”50代”、”老眼”で手を上げるのは、まだ恥ずかしいです。
自分自身は身も心も立派なおっさんですが、なんか申し訳ない気がします。御自身も「40やー!」と言っていましたが、こちらは見た目もおっさんですから。
このまま続けていくのかどうか曖昧なMCもあり、自身の心境や環境の変化や、周囲の変化も、当然あるでしょう。
それでもしばらくはこのまま続けていただきたいと思います。
数あるライブDVDから1枚だけ薦めるとしたらこれかな?
あと、マスコミ関係の皆様、
どうか、シンガーとして、作詞作曲者として、パフォーマーとしてのaikoをもっと評価していただきたいです。
あれほど難しい曲を、これほど無茶な構成で成立させる能力を評価して欲しいです。
お願いします。
『日本で一番うまいのはさっきの久保田利伸さんと、この人なのよ。久保田さんはまあ、ああいうスタイルだからブルーノート、デフォルトじゃないですか。でも他にも色々ブルージーでソウルフルな人、いっぱいいるんですけどね。おそらくノーマークなんですけどね、いろんな方が。ノーマークのこの人がブルーノート、一番うまいと思うんですよ。上手いっていうか、血肉化しているの。もう身体に入っているっていうやつですね。そういう意味では本物のブルースシンガーとも言えると思うんですよ。OLさんがね、この人のことをカラオケで好き好きなんて歌おうと思っても、正確には歌えないと思うんです。エグいブルーノートが必ず曲の中に入っているんで。』
(おそらくライブに行かれていないと思うので)CDだけでもこの評価です。
テレビではキュートな印象を残すようににしているようですが、
ライブではむしろパワフル感が強く技巧的な印象は残しません。
いずれにせよ、技巧面での優秀さを感じさせないというのは、ファンをマニア化させないための有効な手段であると思いました。
キーの高さと声質と曲調ゆえに、ドリカムやSuperflyのような、ベラボーに歌が上手いという印象は残しませんが、テクニカル面でやっていることは遜色ないかそれ以上です。
故にもっと評価してもらえたらなぁ、と思うのです。
by k1right
| 2015-12-29 00:00
| aikoのライブ
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