2015年 11月 23日
パートナーがSEというかたへ |
パートナーがSEで、ご自身がIT音痴という場合、
パートナーの具体的な仕事の悩みはよくわからないだろうと思います。
SEという立場だと、社内でも守秘義務のしばりがあったり
上司も部下も具体的に何をどうすればいいのか分かっていないことも多々あります。
そんなバカな、と思われるかもしれませんが、それがSEのしごとの実際だったりします。
同じ部署の、隣の席の人間にさえ、具体的な相談ができないケースがあるのです。
能力の高いSEであればあるほど、相談の窓口は狭くなり、わかってもらえないことが多くなるのです。
例えば、JAVAで何らかの仕事をしているとします。
上司(プロマネとします)は、プロジェクトの進め方には精通しています。スケジュール遵守命だったりします。
しかし、具体的にどんなコードを書いたらいいか、どんなライブラリのどんな関数を使っていいか、まったく分かっていないことがあります。
それは上司の責任ではなく単なる役割分担です。
そんな時、下手な相談をするとコードの書式なんかに文句をつけられたり、なんでそのライブラリを使うのかなど、逆に質問攻めにあったりして、藪蛇になりかねないので、相談することを避けてしまい自分で抱えてしまいがちです。
部下に対しては、むしろ、指導的な役割を期待され、実際のコードの書き方やらデバッグの仕方、テスト技法、プライベートの相談なんてことを期待されています。
さらに(海外を含む)管理/開発手法のトレンドの把握まで任されていたりします。
そしてそれは大の苦手な英語でしか書かれていないこともしょっちゅうです。
さらにキャリアップ、給与アップのために、プライベートの時間になんちゃれスペシャリストの資格取得のための勉強をしていたりすることもあります。
これではスーパーマンです。
しかし、実際の現場ではこのような役割を期待されているのです。
わたしなどは、ObjectiveCの最初、JAVAについては1.0xの黎明期から関わっていたので、資料の殆どは大の苦手な英語でした。
そもそも英語が特異ならこの業界を志すこともありませんでした。
むしろ、英語が苦手なのでこの業界を死亡志望したのです。
しかし、端からあきらめないでください。
このような、スーパーマンとしての悩みを、パートナーにわかるように噛み砕いて説明することで、ある種のカタルシスが得られるのです。
悩みを突き詰めれば大したことではないことがあるように、
噛み砕いて説明しようとする努力、それが内省につながるのです。
これは、精神分析のプロセスと似たようなものです。
たとえ、パートナーに理解されなくても、悩みそのものを具現化する過程で、パートナーに説明しようとする努力そのもので、霧が晴れそうな気分になることがあるのです。
プロセスと目的を混同しているといえばそれまでなのですが、プロセスの中に目的とする結果が隠れていることもあるのです。
システム開発では、手段と目的を混同してはならないと言われますが、心理相談ではむしろ混同した方がいいケースがあるのです。
なので、パートナーの方は、聴いてあげてください。
黙って聴くだけでいい、とする向きもありますが、むしろ、わからなければわからないとはっきり言ってあげてください。それが内省を促すのです。
どうせわからないからと、話すことを諦めさせてはいけません。
吐き出すだけでもいいのです。まずはそれからはじめなければなりません。
そして応答してあげるのです。
面倒ですか?
わかっているふりをするのではなく、わからないからわかるように説明してくれといえば良いのです。
それだけ?
もし、なにも、互いに打ち明け合う習慣がなければそれだけでいいのです。
それだけで十分です。
あとは段階を追って深化させていけばいいのです。
まずは、できることからはじめましょう。
それは低レベルな、単なる上司への愚痴かもしれません。
それならそれでいいじゃないですか。
単なるグチなら言えばすっきりしますし、同調も容易に得られます。
もしかしたら自分自身の問題であるかもしれません。
それならばむしろパートナーであるあなたのほうがより理解できているのではないでしょうか。
単に言葉遣いとか誤解とか勘違いとかの問題であることもあります。
それならばむしろパートナーであるあなたのほうがより理解できているのではないでしょうか。
内に貯めるより、一旦外に出して細分化して、各個撃破していく事ができるかもしれません。もやもやは相手にしづらいですが、形をなせば個別対応可能となることが少なく無いです。一個一個はつまらないものでも、量をなせばそれなりの面倒なことがあるように、難解そうに見えてややこしいことでも、分解していけば単純なことだったりすることもあります。
その悩みは、SEゆえ、ではなく、意外と一般的なことだったり、
パートナーに特有な、あなたにならよりよく分かることだったりするかもしれません。
自身がIT音痴だって、同業者だって同じことです。
具体化するプロセス、内省するプロセスに意味があり、
それを促すことに意味があるのです。
具体的な悩みが解消されることだけが目的ではありません。
わかってくれようとする/理解を示す他者、それもより深い理解が可能なパートナーに対し、悩みを具現化することが当初の目的なのです。
家庭ではなるべく仕事の話をしない、というかともいらっしゃると思います。
しかし、家庭で、むしろ家庭でのみ解決できる仕事に固有の悩みだってあるのです。
by k1right
| 2015-11-23 00:00
| カウンセリング
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