2015年 04月 23日
『聞けない人は本当の病気』なのか? |
2015/04/22付の東洋経済オンラインで以下の記事。
安部首相が”他人の意見を聞かない典型だ”との持論を展開されているが、
その根拠のひとつが
『著名な精神分析家のフロイトは、人の心的機能は快感原則と現実原則の二つの原則に支配されている、と言っている。』だそうだ。
この一言で全て台無しだ。
この方の発言が全てノーエビデンスであると吐露しているのと同じだ。
そして『聞けない人は本当の病気だ。』ともあるが、何の病気かは明示されていない。
”本当の病気”であれば病名が明示されていていいようなものだが、それはなく、『病識のない人は本当に難しい。』という言葉で逃げている。
そして”病識”とは『「自分が病気であるという自覚」の意味』という。精神医学における『病識がない』疾病の代表は統合失調症である。ここでの病気が何を指すかは不明だが、人格障害などは基本的に『病識』の有無など判断材料にならない(後に続く『カウンセリングを受ければ治る』病気は統合失調症ではない。
これなども20世紀、昭和の終わり頃のテキストに書いてあったことのうちの一つで、もちろん現代医学では何の意味も持たない。
そして『とかく重度の犯罪を起こした人でもカウンセリングを受ければ治る、更生するといわれるが、それはほとんどないといえる。』と続く。
何を言わんとしているかさっぱり理解できない…
主語と述語と目的語が無関係の羅列されている文章ではあるが、かなり好意的に解釈するとこんな感じか?
”話を聞かない人”であれば、とかく重度の犯罪を起こした人でもカウンセリングを受ければ治る、更生するといわれるが、”話が聞けない人”では、それはほとんどないといえる(と私は思っている)。
『とかく』の補足(とかくの意味 - 国語辞書 - goo辞書より)
1 さまざまな物事を漠然とさす。何や彼(か)や。いろいろ。「―するうちに一年が過ぎた」
2 ある状態になりやすいさま。または、ある傾向が強いさま。ともすれば。ややもすると。「年をとると―忘れっぽくなって困る」
「涙は―に止まなかった」〈小杉天外・はやり唄〉
3 何はさておき。何にせよ。「―この世は住みにくい」
4 (「とかくの」の形で)あれこれよくないさま。「彼には―の噂(うわさ)がつきまとう」
[名]種々さまざまな事柄。
「先師暫く吟じて、―をのたまはず」〈去来抄・先師評〉
[補説]「兎角」「左右」とも当てて書く。
その他にも『妄想』のくだりなども全く意味不明だ。
『妄想、強迫観念、強すぎる自己愛のいずれかを抱いている』
『もしかしたら祖父を超えたいという安倍首相の主義、主張はかなりの部分で、それに近いのかもしれない。』
何を根拠にしているかさっぱりわからない。医者が直接診断したことのないクライアントに勝手に診断を下すということが許されるのだろうか?
以下上記記事より転載
片田珠美(かただ・たまみ)●京都大学非常勤講師。広島県生まれ。大阪大学医学部卒業。京大大学院人間・環境学研究科博士課程修了。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。フリーランスの精神科医として臨床に携わり、臨床経験に基づいて犯罪心理や心の病の構造を分析。
※コメント欄も痛い。
電気通信大学の方が『この先生の仰ることは、学問的、社旗現象的には正しいのかも知れません。』と述べられているが、学問的には全く意味が無い。誤っているとさえ言えないのは、基礎理論のエビデンスがすべて捏造に基づいたものだからだ。
精神分析理論が”正しいのかも”と思ってしまうことがそもそもの間違いなのである。
現在の精神分析の位置づけはただの宗教論なので、正しいとか正しいとかの範疇の外にあり、信じるか信じないかである。
by k1right
| 2015-04-23 00:00
| 臨床心理学
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