映画「デビルズ・ノット」 |
映画の日というよりも、公開館が少ないので慌てて「デビルズ・ノット」を新宿で観てきた。
映画の日だからか、両サイドが空いている席が最前列しかなくて、数年ぶりに最前列中央で鑑賞。スクリーンが小さかったのでぎりぎり視野に収まり思ったより快適に鑑賞できた。ただ、スピーカーの位置が悪いのか、メインではないノイズに近い周辺音が妙な位置から聞こえてきて音の定位に違和感があった。
実話ベースということだったが、映画としての出来不出来の感想に影響しそうだったのであえて宣伝以外の資料の当たらずに観てきた(今後少しは調べるつもり)。
薄暗い映画だった。
映画的カタルシスは微妙だが、無理やり話を収めた感じがしないので、結末に関してはまあまあ納得できた。結末がテロップ、というのは反則技とも思うが、小説ではこうはいかないはずなので映画的な終わらせかた、と言えるだろう。
ちょっと前に見た「チョコレート・ドーナッツ」が、無理やり主人公の唄で終わらせるというのに、手法としては似ていると思うのだが、こちらのほうがそこに至るまでがロジカルなので納得できたのだろう。
キャッチコピーほど事件に猟奇性は感じられなかった。
作中の遺体描写からは、残忍性も異常性も感じられず、儀式的な匂いもなかったので、どうして悪魔崇拝に結び付けられたのかは理解できなかった。
例えば、紐の結び方が独特だとか、遺体に独特の傷が付けられているとかもなかったので、実際には何らかの証拠があったのだろうが、そこいらを映画的設定とせずに、丁寧に描写してくれればこちらの理解も容易くなったのだが。
プロファイリングが普及しつつある時代であったのでFBIが関与すればまた違った展開があったのだろう。殺害方法が詳細化されていないが、それでも1993年時点で有罪化できること事態が恐ろしいという意味か?
どの登場人物にも感情移入しがたいが、神視点で俯瞰するのがこの映画の正しい見方の一つだと思うので、その点について評価は左右されない。
単館ものが好きならそれなりに楽しめるんじゃないか?娯楽的要素は皆無だが。
(なので感想がとっちらかっている)
ミステリーとして捉えると穴だらけだが、ドキュメンタリーに近いとすれば、被害者の母親役の女優の体型が妙にリアルで艶かしいあたりも逆に評価が高まる点である。その意味では主人公が格好良すぎるのが惜しいところで、もうちょっとダサい感じが欲しい。自分が日本人だからしかたがないのだろうが、被害者の父:容疑者?と被害者の父:饒舌、の区別が髪型でしか出来ないので、もうちょっと体型が違う役者を配して欲しかった(これも狙いか?)