読書記録「ダブル・フォールト」 |
読書記録 真保裕一「ダブル・フォールト」
どうしてしまったのだろう?
「奪取」、「ホワイトアウト」などを書いた同じ著者とは思えないくらい不出来だ。
まるで連続ドラマの脚本のように、一定間隔で山場が訪れ、つど軽いどんでん返しがある。
設定はまるで現実味がない。
どこかで似たような…湊かなえでなんか似たようなのがあったような?
いらないエピソードと、そのエピソードを展開するための無駄な設定、予測を無意味に困難にする展開。
が、主人公、ヒロイン(?)、主人公の敵役である上司、どれにも感情移入しづらい。
動機が弱いのと、非現実性でどうにもならない。
殺人事件の被告を無罪もしくは減刑するために、被害者が殺されてもしょうがない人物であると証明しようとする弁護士、
それを逆恨みし痴漢冤罪をでっち上げようとした被害者の娘であるヒロイン、
ちょっと調べればわかる重篤な秘密が動機の上司。
そして主人公は意味不明な正義感(≠倫理観)のみで行動し、面倒臭いだけのヒロインと組んで上司と対峙する。
この面倒な娘と組む必然性がどうにも理解できないので、どうせこの先はこうなるだろうなぁと思いつつもその通りになったところで、裏切られる感じもなければ、腑に落ちる感じも得られない。
思えば、上記作品も設定は荒唐無稽ながらスピード感で押し切る先品だった。そのスピード感が失われた本作品では残念な印象が残るのみである。
現実問題として、なんとなく弁護士になってしまう主人公って優秀なんだろうけど、いたらすごい嫌なやつだ。
NHK「聖女」 でもふらふらとした感じで弁護士になった主人公という設定があったが、これが流行りなのか?
おすすめ度:★☆☆☆☆(著者の現状を確認するという意味では価値がある)